料理とコミュニケーションが認知症の予防に有効

認知症になると、家事の中でも特に料理ができなくなると言われる。料理は、段取りを考え複数の作業を同時に進めることが必要だからだ。

認知症と、年齢による普通の物忘れとの間の状態は、軽度認知障害(MCI)と呼ばれているが、MCIを放置すると、5年間で約半数が認知症を発症するという。
MCIの段階で気づいて対応すれば、認知症の発症が予防できることが多い。

都内に住む74才の女性は、あるとき同じものを何度も買ってしまうことに気がついた。「今日はオムライスにしよう!」と思ってケチャップを買って帰ると、最近買ったばかりのケチャップが冷蔵庫にある。
また、「あれ、それ」ということが増えた。「あれあれ、封筒の封をするのに使うの、あれどこだったっけ…」「テープのりのこと?」「あー、そう!」というように。
これはまずい、いつもと違うと思い、物忘れ外来を受診した。すると、MCIの段階だと分かった。
そんなある日、孫が「おばあちゃん、今日は私が手料理をご馳走するね!」と言って、持ち帰ってくれた料理を一緒に食べた。SKRSの料理サークルで作ったのだと言う。栄養のバランスも良く、美味しく出来ていた。
物忘れ外来の先生が、外出して人と会話することや、料理を勧めてくれたことを思いだし、孫と一緒にサークルに参加することにした。料理サークルでは、孫と2人で1人分の作業をした。若い人ともたくさん話せて、元気になっていった。
週に1回ほどのペースで1年通ったとき、ふたたび物忘れ外来を受診した。すると、MCIでなく、正常な状態に戻っていた。

このような報告を受けて、地域の介護予防事業としても、MCIの診断を受けた人が料理サークルに参加することを勧めるようになってきている。地域で既に行なっている、運動しながら脳を使うトレーニングと組み合わせ、より効果を出そうと考えている自治体もあるという。

投稿日: 2015/09/13 18:30:47 (JST)

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