ついにエウロパへの有人飛行に成功 苦難の道のり

日本時間2月22日23時30分頃、木星の衛星エウロパに、NASAの有人探査機「ファースト・エウロパ」が着陸した。火星より外側の天体に有人探査機が着陸するのは初めてだ。搭乗していたのは27歳から58歳までのアメリカ・カナダ・スペイン人の8人で、全員健康だという。打ち上げられたのは昨年12月だ。

ファースト・エウロパは、エウロパの赤道に着陸した。できるだけ機体を軽量化するため、宇宙船に温度計は搭載されていないが、27歳の船員が自分で持参した棒温度計では日本時間23時50分過ぎの時点で氷点下199度を観測した。エウロパには起伏が少なく、特に見どころといえるような場所はないが、船員は宇宙服を着て、ゆったりとエウロパを散歩しつつ、調査をするという。地球を含めた天体観測も行われる。また、2187年にエウロパの地下の海に発見された生命体の調査も行う。エウロパには今年9月まで滞在し、今年11月に地球に帰還する予定だ。また、5月には民間の有人宇宙船も到着し、交流を行う。

ファースト・エウロパにいる知人に連絡を取るには、NASAのホームページに申請を行う必要がある。民間の宇宙飛行と異なり、公的な宇宙飛行であり、きちんと調査を行わなければならないので、メッセージの送信は月に3回までになる。ファースト・エウロパからも同様である。メッセージの送信先と内容を事前に本社に送信し、許可を得られたメッセージのみ送信が許可される。なお、個人情報の管理は適切に行うとしている。また、地球にいながらVRでエウロパを体験することもできる。ただし、通信に1時間ほどタイムラグがある。

さて、火星の外側への到達は苦難の連続だった。2100年に水星への有人飛行に成功してから、まず目指されたのは小惑星帯の準惑星ケレスだ。しかし、簡単なことではない。まず、火星の外側では太陽電池が使えないので原子力電池を使うことになるが、どうすれば船員が被爆せずに済むのかが問題だった。鉛の板で電池を覆うなど、多くの工夫が考えられた。しかし、2146年に初めてケレスに向けて打ち上げられた民間の有人宇宙船では、打ち上げから5時間後に原子力電池が爆発。乗組員7人全員が死亡した。この問題については、2170年代に放射能漏れを防ぐ特殊な電池が開発され、解決された。

しかし、問題はそれだけではない。無人宇宙船と有人宇宙船では電池の消費量が違う。人の重さがあるし、原子力電池で、照明、給湯など全て賄わなれけばならない。原子力電池を増やせばよいわけではなく、増やしても、増やした分の原子力電池の質量がかかるので悪循環になってしまう。現に、2189年に同じ小惑星帯のベスタに向けて打ち上げられたNASAの宇宙船では途中で原子力電池が切れ、ベスタの周回軌道に突入できなくなった。宇宙船はベスタから数百万kmの地点を通過、今度は太陽系の内側に向かい、太陽に突入して全員が宇宙船もろとも燃え尽きてしまった。これについては、2200年に画期的な原子力電池が発明され、1個でそれまでの原子力電池5個分の電力を賄えるようになった。スイングバイの技術も改良された。また、小惑星帯の天体より、やや遠くなるが重力が強く周回軌道に突入しやすい木星の衛星が目指されるようになった。

満を期して、2216年にガニメデに向けて打ち上げられた民間の有人宇宙船は、運悪くも小惑星帯で直径数十メートルの小惑星に激突して宇宙船が大破、乗組員全員が死亡した。その後、小惑星を回避するレーダーなどの技術が開発され、ファースト・エウロパの打ち上げに至った。

投稿日: 2019/04/14 21:27:44 (JST)

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